コラム

[2008/10/06] 第3回 事実と真実とは(映画から学ぶことがあります)

仕事の中で事実を見極めることやある事象から色眼鏡を排除して、真実を抽出することはとても大切な行為だと思います。

映画「表決のとき」(1996年)の一幕に、弁護士のジェイクが陪審員に対する最終弁論の際に目を閉じさせて想像するよう訴えるシーンがあります。白人の2人組の若者が買い物帰りの10歳の少女トーニャを暴行し、その若者たちへの復讐を実行した父親カール・リーに対する最終弁論の場面です。

その若者たちが少女にどんなに残酷な酷い仕打ちをしたかを切々と陪審員に対して語りかけます。陪審員たちはあたかも我が子がされた酷い仕打ちのように感じ、無罪を言い渡します。それは白人の陪審員たちが黒人の少女トーニャを、まるで白人の少女のように感じた結果でした。

実はその映画にはもう一つ、被告人に対する証人としてある医師が呼ばれその証言の信憑性を問うシーンがあります。その初老の医師が若い少女と淫行したとの事実を突きつけられるシーンです。

「はい、事実です」と答え弁護団は窮地に追い込まれます。その後その医師と少女が固く結ばれ婚姻していた事実を、最後に知ることになります。

私はこの映画を観た時、人の行動や発言に対して簡単に考えたり解釈したりしてなかっただろうかと、考えさせられたことを思い出します。

誰かが陽気に振舞っていたら、きっと良い事があったのだろうと考えますよね。でも…ひょっとしたら辛い気持ちを奮い立たせるために、わざと陽気に振舞っているかもしれない。その人の何の事実も知らないまま…何となく感じた勝手な印象で判断したり、思い込んだりしてることってありませんか?

このことは仕事についても同じことが言えます。物事を判断する時に事実を発見し見極めることを疎かにしては、方向性を見失ったり誤った判断をしてしまいますから。事実を正しく抽出し、本当の真実や真理を考察することがとても大切ですよね。

私はさらにこの映画から、どんなものや誰に対しても、常に純粋なピュアな気持ちで接することの重要性と難しさも学んだ気がします。  <s.o>


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