コラム

[2009/02/02] 第7回 『北の鉄人』の復活に期待 Vol.2

前回からの続きで、今回は『北の鉄人』についての最終話です。

新日鉄は平成12年11月、全ての運動部を地域共生型広域クラブへ移行する基本方針を発表しました。これにより新日鉄釜石ラグビー部も解散が決まり、後継としてクラブチームを結成する活動が始まったのです。しかし、クラブ化による大きな問題が…。日本ラグビー協会の規約上、大会には「社会人」しか出場できず、「クラブ」は出場資格を持たなかったのです。クラブとして再出発したとしても大会には出場できない。そこで、地元を中心とした署名活動が始まり、1万4千を超える署名により「クラブ」も大会に出場できるように規約が変更されました。こうして平成13年4月、「釜石シーウェイブス・ラグビーフットボールクラブ」は誕生しました。

釜石シーウェイブスは平成13年度からトップリーグの下部組織である地域リーグ「イースト10」に所属し、昇格を目指してそのシーズンをスタートさせました(その後リーグ名は「トップイースト11」に変更されました)。平成13年度以降、一度だけトップリーグチャレンジシリーズに進んだことがあります。5年前のシ-ズン、平成16年1月、場所は東京の駒沢陸上競技場。トップウエストの代表・豊田自動織機との一戦。結果は15-60の大敗でした。私は試合の前日まで仕事の都合で東京に出張していましたので、一泊余分に泊まり競技場に駆けつけました。V7時代に比べスピード、パワー、試合運びすべての面においてレベルが低いと素人ながらに感じていました。トップリーグの下部組織にいるチームなのだから、それが今の実力と思いながらも淋しさを感じたことを思い出します。

今シーズンは7勝3敗で得失点の関係から6位に終わり、残念ながらトップリーグ昇格の夢は絶たれました。トップリーグに昇格するためにはトップリーグチャレンジシリーズに出場して勝たなければなりません。下部組織のリーグはトップイースト11(東日本)の他にトップウエスト(西日本)、トップキュウシュウ(九州)があり、それぞれの1位3チームによる総当たり戦、2位3チームによる総当たり戦を実施し、総合1位、2位は自動昇格、3位はトップリーグ12位と4位はトップリーグ11位と入替戦を行うシステムになっています。このコラムが掲載される頃には、自動昇格の2チームと入替戦に出場する2チームは決まっていることでしょう。

釜石シーウェイブスの選手は皆、釜石市を中心に近隣の企業で働いています。新日鉄釜石、市役所、幼稚園、養護学校、市内の地元企業、等々。中には釜石市から車で何時間もかかかる市外で働いているため、週に1、2度しか全体練習に参加できない選手もいるようです。彼らのジャージ、パンツ、ストッキングにはスポンサーの広告がたくさん縫い込まれています。新日鉄、ローソン、SMC、アイリスオーヤマ、等々。クラブチームなので仕方のないことですが、明らかに相手チームのそれとは違いゴタゴタした感じがします。複数のスポンサーの中には新日鉄も入っていますが、クラブチームだけに資金的になかなか有望な選手を集められないことでしょう。強いチームになるための環境を考えるとこのように厳しい面が多いと思いますが、頑張ってトップリーグへ昇格して今度はクラブチーム旋風を巻き起こしてほしいと願っています。そのときはまた大漁旗のもと応援に駆けつけるつもりです。 <M.K>


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