コラム

[2010/04/05] 第21回 休日の在り方

3月に入り、新聞にゴールデンウイークなどの連休を分散させる政府案が掲載されていた。観光立国推進本部の休暇分散化ワーキングチームが検討を進めているそうだ。「観光立国」という名称に馴染みがなく調べてみたところ、国土交通省の観光庁に属した部署であった。政府案の内容は、日本を五つのブロックにわけ、春と秋の 2回、土日を絡めて順番に 5連休にするというもの。渋滞や混雑をなくして観光需要を引き出すのが狙いのようである。政府案の基本方針の中に“休日となる「国民の祝日」の日数は増やさない”ということが定義されている。

休日分散のイメージ

これにより、春は
・憲法記念日( 5月 3日)
・みどりの日( 5月 4日)
・こどもの日( 5月 5日)

の 3祝日が、秋は
・海の日 ( 7月第 3月曜日)
・敬老の日( 9月第 3月曜日)
・体育の日(10月第 2月曜日)



の 3祝日が休みではなくなる。これらの祝日は休日ではなくなるが、記念日として残すことも基本方針の中で謳われている。

観光需要を高める検討はよいが、祝日法を変えてまでやるべきことか疑問である。果たしてそれが、景気回復の手助けになるのだろうか…。休日ではなくなる秋の 3祝日は、いずれもハッピーマンデー制度により2000年度あるいは2003年度から日付が変更されたばかりである。やっと馴染んできたのに、また変えるのかという感じがする。従来の 7月、 9月、10月に 3連休があるというのも悪くないと思うのだが。

同ワーキンググループではフランスやドイツの連休の取り方も参考にしているようだが、いっそのことフランスなどの“最低12日の連続休暇取得を義務化”しているところを真似てはどうだろうか。観光需要うんぬんで、休日をずらすことより、労働者の年次有給休暇取得率をアップさせるほうが、景気回復を見込めるのではないだろうか。子供のいる労働者は子供の夏休み、冬休みに合わせて連続休暇を取得できれば嬉しいだろうし、何より自分の好きなときに連続休暇を取得できれば言うことはない。

有給休暇の国際比較

私が、毎週行くラーメン屋の店主に聞いたら、“自分には、ぜんぜん関係のない話だ。なんで、政府は官公庁や大手企業のことばかり考えるんだ。こっちは、元旦以外休まず、働いてるんだ!”という言葉が返ってきそうである。

祝日法の第一条には、次のように書かれている。
「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」

誰のための、何のための法律なのか、意義が薄れて行く気がしてならない。 <M.K>


コラム一覧はこちら