コラム

[2010/08/02] 第25回 消費増税に関して思うこと

第22回参院選が 7月11日投開票された。事前のマスコミの予想通り民主党は自民党に敗れる形となり、菅首相は翌12日の記者会見で「消費税に触れたことが唐突な感じを持って国民に伝わった。事前の説明が不足していた」と語った。一方、自民党の谷垣総裁は「民主党の暴走迷走にきつい審判をしなければならないという結果が出た」とコメントした。

果たして、国民は自民党から民主党への政権交代が間違いだったという判断を下したのだろうか。民主党ではなく、やはり自民党でなければ…という思いだったのかと問われると、そうでもないように思える。 1人区を取り上げて、「民主系は、 8勝21敗と大敗した」と報道されたが、得票数の合計では民主党が自民党を上回っている。

今回、消費税に触れたことは悪いことではないように思う。朝日新聞社が参院選の出口調査で約18万人の投票者に聞いた結果では、消費税率10% への引き上げが「必要」と答えた人は49% 、「不要」と答えた人は42% 、投票者の 2人に 1人が「必要」としている。しかし今回は、菅首相自ら言っているとおり「説明不足」で、説得力に欠けていた。今後どのように検討して行くのか、方向性を伝えることができればよかったのかもしれない。自民党が掲げた「消費税率10% 」に軽々しく同調しているように映ったのだと思う。


個人的には、高速道路無料化、今年度から施行された子ども手当の支給や公立高校授業料無償化といった話題も気になるところである。税収不足、高齢化でふくらみ続ける社会保障費によって赤字が増え続ける財政下で、これらは恒久的に実現できるのだろうか。自動車を所有していない人、子どものいない家庭にとって、これらの政策は何のメリットも感じられないのではないだろうか。これらの財源確保と消費増税が関連しているのであれば、とんでもない話である。

また、民主党、自民党をはじめ複数の党では、国家公務員と地方公務員の人件費削減、国会議員の削減を掲げている。削減される額は二の次として、この対応が国民に対して一番説得力があるのではないだろうか。申しわけないが、区役所や税務署に行く度、人員削減できるのではないかと思ってしまう。


「ねじれ国会」という難問を抱え、国会運営は困難を極めると言われる中、民主党は消費増税の年度内とりまとめの先送りを決めた。国の財政が破綻に向かっている今、政党間でケンカをしている場合ではないと感じ、なぜ消費増税が必要なのか、税率は10% が妥当なのか、所得税や法人税も含めて議論し、その結果をなるべく早く国民に説明してほしい。民主党の代表選は、 9月に行われる。資金管理団体の政治資金問題で出馬するかどうかわからない小沢一郎前幹事長の動向が気になるところではあるが、誰が党の代表になっても確固たる方向性を指し示してほしい。 <M.K>


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