コラム

[2010/10/04] 第27回 失敗から得た教訓(2つのコミュニケーション)

チリ北部の鉱山で地下に閉じ込められた労働者らに物資を届ける準備をする救助関係者

南米チリ北部の鉱山に作業員33人が閉じ込められている落盤事故で、閉鎖環境での長期滞在についてのノウハウを持つ米航空宇宙局(NASA)の専門家チームが現地入りし、救出作業を支援している。

NASAは、1990年代半ば、アメリカとロシアの共同宇宙実験「シャトル・ミール計画」において、大きな問題に遭遇した。
宇宙滞在30日を過ぎてアメリカとロシア両国のクルー同士が口論となったり、ロシア人宇宙飛行士が、長期滞在のストレスから地上との交信スイッチを遮断してしまうという事態となった。

NASAは、この問題でコミュニケーションに関する2つの教訓を得た。

集団でのコミュニケーション
問題は1人で考えずにグループに報告する。そうすることで、問題解決に向けグループ全員で考えるようになり、自然と同じ目的に向かって結束が強まる。

外部とのコミュニケーション
閉ざされた空間にいる人は、外部から取り残されているという心理的ストレスがある。 地上にいるスタッフが救助の状況や地上で起こっているニュースを知らせ、コミュニケーションを図り、信頼関係を築くことで心理的ストレスが軽減される。
NASAの教訓から感じたこと

集団でのコミュニケーションを実現する上で重要なのは、「メンバー同士の関係性」であり、「人の話をきちんと聞き、相手の立場になって考える」=共感(共感的理解)することが信頼関係を築く第一歩となる。

共感(共感的理解)とは、・まず相手の言ってることに注意深く耳を傾け、相手の感情やその感情を持つに至った背景を理解する。・そのことを相手に伝え、正しく理解しているかどうかを確認する。 という手順を踏みながら、相手への理解を深めていくことを言う。

日頃から共感を心掛けることで、お互いが納得して行動できる。その結果、信頼関係が強固となり、グループ・チームなどの集団が成長していくのだと思う。

外部とのコミュニケーションに関して思うことは、「事実情報」を正確に伝えることが重要であり、情報伝達者の私見が含まれてはいけないということ。私見は、情報伝達者の意見であり、その意見によって情報を受け取る側の印象が変わってしまうからである。事実と意見を意識しながら、情報を伝える能力が問われるのでしょう。 <k.g>


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