コラム

[2011/04/04] 第33回 東北地方太平洋沖地震

平成23年(2011年)3月11日14時46分、東北地方太平洋沖地震が発生しました。震源地は牡鹿半島の東南東130キロ付近の三陸沖で、震源の深さは約10キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は9.0と報道されました。

自宅から1kmほど先の多賀城市ならびに石巻方面の津波による被害は、まるで戦場を見ているようでした。瓦礫となった店先や家屋の数々。道路には残骸となって折り重なった何台もの車が、まるでミニカーを玩具箱の中に無造作に投げ込んだような光景となって眼に入ってきました。そんな光景を眼にしてヘドロのような堆積物を踏みしめながら瓦礫を歩いていたら、うっすらと涙が出てきました。

私の自宅は宮城県仙台市の仙台港付近に位置していますが、津波による影響は思ったよりも少なく、床下浸水程度の被害ですみました。自宅家屋の倒壊や外見上のヒビもなく、転倒防止材や耐震ロック(耐震ラッチ)が幸いし、家具や食器棚(食器)などの損壊もありません。多くの被災者の皆様方が避難所生活にて辛い思いをしているのに比して、住む家も布団もあり、暖を取ることができます。食事は微量を食いつなぎながらとは言え、周辺の方々と比較しても決してひもじい思いはしていません。お米を日に2食程度を食することの出来る環境は、とても幸せな状況であり贅沢であるとさえ感じます。

お亡くなりになった方々や辛い思いをされている方々が沢山いる中で、自分は幸いにも生かされた、そう感じています。自分に起きるすべてのことは、私自身の運命なのだろうと思っています。だからこそ、このような出来事も真摯に受け止めて、自分の出来ることは今まで以上に精一杯しなければと、そう思います。

仙台港近くに住む友人に大丈夫かと連絡すると、「家の1階と車が2台やられちゃいましたけど、大丈夫です」と明るく答えてくれました。また、セルビア人の方からの励ましのメールが印象的だったと、昔の仲間が連絡をくれました。「困難な状況でも元気に明るく」なのだそうです。戦争を経験した強い心が、温かく励ましてくれています。

沢山の方々からのご心配と温かい励ましのお言葉をいただき、本当に感謝の念に堪えません。この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。

被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。被災によって亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に、心よりお悔やみ申し上げます。(2011年3月18日 執筆) <s.o>


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