コラム

[2013/06/03] 第59回 本音と建前

言葉

4月から新社会人となった友達の妹は、入社して1カ月で会社を辞めてしまいました。
なぜ辞める事になったのか理由を聞いてみると、仕事中にミスをしてしまい、翌日、先輩と話をしていた際に
「むいていないのかな・・・」というような事を言ったそうです。
そうすると、先輩から
「そう思うなら辞めたら?今すぐ退職届を書いたほうがいいよ」
という言葉が返ってきたそうです。
前日には、まだ始めたばかりだから頑張ってみる。と言っていたそうです。それなのに、思ってもいないその一言で、どうしていいのかわからず、退職届を書いてしまったそうです。

相手の想い

その子は、きっと「大丈夫」の一言が欲しかっただけなんだろうな。と思いました。
ミスをして驚いて、落ち込んでしまうのは当然で、
まだ入社して数日、そんな事が起これば、続けていけるか不安にもなります。
まだ1回目のミスなのだから、「大丈夫、次は頑張ろうね」と言ってあげられなかったのかな。と思いました。

しかし、先輩の言葉は本当に退職させようとして言った言葉だったのでしょうか。
今まで、いろいろな人を見てきているだろうし、経験もたくさんしてきた中での
その子のためを想った言葉で、本心は別にあったのではないか。

伝わる言葉

だれにでもいろいろな気持ち、感情、想いがあり、言葉になります。
正しく伝われば、元気や勇気を与え、相手にとってプラスになる事もあります。
しかし、間違えて伝わってしまえば、傷つけ、追いつめ、一生忘れられない言葉となり、
相手にとってマイナスになる事だってあると思います。

先輩が言った一言は、本心はどうであれ、
その子の入社前から資格を取り、頑張ろうと思っていた気持ちを奪い、
もうこの職種には就かない。と言わせてしまう言葉になったのが、事実です。
もし、この言葉が相手を想った、違う意味を持つ言葉だったとしても、
伝わる言葉で言ってあげられていたら、その子は、次は頑張ろう!と仕事を続けていたかもしれません。

想いを言葉に

言葉は難しいものです。
言葉があるからこそ、本当の想いは伝わらないのかもしれません。
野生動物たちは、言葉を持たないからこそ「以心伝心」が果たせるのかもしれません。
そんな難しい「言葉」なのに、本音ではなく建前で話をされたり、相手を試すように使われたりしたのでは、
お互いを理解し、信頼関係を築いていく事ができるのでしょうか。

言葉というものは、相手を想って言っていたとしても、
どのように伝わるのか、正しく理解してもらえるのかは相手次第になります。
「想い」を「言葉」にした時点で、どうとられてもいいという「覚悟」をしなければいけません。
私は、伝えたい相手には、届きやすい言葉を言ってあげられる人になりたいと思います。<k.t>


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