コラム

[2011/08/01] 第37回 酒との付き合い方

徳利とぐい呑み

人はなぜ酒を飲むのだろうか。ふとそんなことを思った。

初めて酒を飲んだのはいつだったか、遠い記憶を思い起こしてみた。小学校高学年の頃、御神酒を飲んだというか舐めさせてもらったのが最初のような気がする。そのときは苦くておいしくないと思った。これならコーラやラムネのほうがましだと。

20歳頃から飲酒を始め、それは今もなお続いている。しかし、酒がおいしいと感じることはほとんどない。おいしいと感じるのは夏の暑い日に飲む一杯目のビールだけ。おいしいと感じないなら飲む必要はなく、止めようと思うが止められない。頭の中にマイナス思考の思いがたくさんあり、それを排除するために飲むことがよくある。飲んだところで頭の中から消え去ることはなく、次の日に思考回路が正常に戻るとまたマイナス思考分子たちが蔓延する。そしてまた消し去ろうと思い飲む、この繰り返し。自分はつくづく意志の弱い人間である。

飲酒はほどほどに

5月終わり頃、インターネット上のニュースで、東日本大震災による避難所での飲酒問題が取り上げられていた。避難所からの救急搬送が少なくとも 2千人を越えるというものであった。飲酒に至ったきっかけは、悲しみを紛らすため、避難生活のストレスから逃れるためといったものである。1995年の阪神大震災では、兵庫県内の仮設住宅で孤独死した病死者の死因の 3割が肝疾患で、ほとんどがアルコール依存などに伴う肝硬変だった。

「酒は百薬の長」という有名な言葉がある。中国古代の史書『漢書』に出てくる言葉である。これは、あくまでも適量を飲んだときのことであり、飲み過ぎればそうではなくなる。某ビール会社のホームページを見ると適量とは個人差はあるが、ビールで中ビン 2本まで、日本酒で 2合まで。また、酔いの状態はアルコール血中濃度によって 6段階に分けられる。

    爽快期 < ほろ酔い期 < 酩酊初期 < 酩酊期 < 泥酔期 < 昏睡期

楽しく酒を飲めるのは、ほろ酔い期までで、そのときの酒量は先ほどの適量に該当する。個人的には日本酒を 4合程度飲むことがしばしばある。この酒量は酩酊期に該当し、まったく百薬の長ではない。

多くの人が酒を飲むがそれは、おいしいから、付き合いで、ストレス解消のため、現実逃避のため…人それぞれであるが、酒が百薬の長となるような飲み方を心がけたい。以前から禁酒を目論んでいるが、当面は意志の弱い人間のままでいようと思う。<M.K>


コラム一覧はこちら