コラム

[2012/04/02] 第45回 平常心を保つために

pepple stack in water

昨年起きた東日本大震災から1年が経過した。この1年間、震災に関する多くの出来事が報道された。悲しくなる内容は多いが、中にはうれしいというか安堵する報道もあった。その中で今も印象深く記憶に残っているのは、震災から9日後の3月20日、宮城県石巻市で倒壊した家屋の中から救出された祖母と16歳の孫の報道。救助された際、16歳の少年は、手渡されたカイロやお菓子を拒み、最初に発した言葉は、「中に80歳のおばあちゃんがいるので先に助けて」。脱水症状、凍傷、低体温症の症状だったというから、まともな精神状態ではなかったことは想像がつく。それにもかかわらず、第一声は祖母を気遣う言葉。もし16歳の自分が同じ状況に置かれたとしたら、この少年のように思いやりの言葉を口にしていただろうか。人は追い詰められた状況でどのような行動をとるのか、そういうときにこそ真価が問われるのだと震災関連の番組を見る度に思う。


高校生のときから心がけるようになったことがある。「平常心」を保つこと。きっかけは、当時所属していた硬式野球部での練習試合や公式戦。スコアリングポジションにランナーがいる場面で打順が回ってくると、ここでタイムリーヒットを打ったら…、ホームランを打ったら…などと色気を出すと、良い結果になることはほとんどなかった。相手チームのヤジもあり、力んでしまいバットコントロールがスムーズに行かず、凡打になっていたのだろう。平常心を保つことを心がけるといっても、深呼吸をしたり、イライラしないように少しだけ別のことを思い浮かべたり、相手の立場になってあれこれ考えてみる程度である。


人は、緊張やプレッシャーにさらされると、心理的に焦りや不安を覚え、肉体的に心臓がドキドキしたり、汗をかいたりするストレス反応が現れるという。体の反応を抑える方法の1つとしてレゾナンス呼吸という呼吸法があるそうだ。“深呼吸すれば落ち着く”ことを体に覚えさせれば、深呼吸するだけで平常心を取り戻せるという。参考までに、後日この呼吸法を詳しく調べてみようと思う。


人は、変わらなくてよいところと、変わる(変える)べきところがあるのかもしれない。長い時間を経て形成された自分という性格は変えることはできないが、物事に対する考え方、姿勢は変えられるはずである。たとえば、仕事で失敗したときは、なぜ失敗したのか振り返り、同じ失敗を繰り返さないように自分の中に知識として蓄えればいい。この知識(経験)を増やしていけば、追い詰められた状況になったとき、平常心を保つことにつながるはずである。<M.K>


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